婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「エドガー様のことで謝る必要はありませんわ。すでに両家で解決したことですから」

「そうでしたね。余計な事でした」

 音楽はまだ続いています。

 私達はダンスを再開することにしました。
 こんなに婚約解消の件が立て続くと気分が滅入ってしまいます。

 それはやはり私が傷物だから?
 
 ネガティブな気持ちに引きずられるのを払拭させたくて、スティール様に話しかけました。

「スティール様は留学していらっしゃるのですよね?」

「ええ。してましたよ。今はこちらの学園に編入しています」

「そうだったのですか?」

 知らなかったわ。

「でも、新学期には再編入する予定でいます。あちらの方が僕には合うようなので」

「そうなのですね。よければお話を聞かせてもらえますか?」

 踊ることに専念した方がよいのでしょうが、ポジティブな気分に浸りたくて、留学の話を聞きたくなりました。

「いいですよ。何から話しましょうか」

 快く引き受けてくれたスティール様は温和な話し方がとても好印象で、留学の話に話題は尽きず、ユーモアたっぷりなエピソードも楽しくて、短い時間でしたが、有意義なひとときとなりました。