「どうしたの。ぼんやりして」
ディアナの声にハッとして我に帰りました。学園で教室移動のために廊下を歩いているところでした。ビビアン様とのお茶会から二、三日経った今でもあの言葉が心から離れなくて、時折思い出してしまうのです。
「何でもないわ。ちょっと、授業のことを考えていただけよ」
「授業って、勉強熱心ね。フローラらしいけれど、歩いている時に考え事していたらつまずいて怪我をするかもしれないわ。気をつけてね」
「ええ。そうね。気をつけるわ」
教科書とノート類を落とさないように抱え直すと愛想笑いを浮かべました。
うまくごまかせたみたいでよかったわ。
落ち込んだ顔をしていると余計な心配をさせてしまうわね。気をつけなくては。



