花を横から手折る者……か。
 もしかして、本当にそんな者がいるのか。

 ローラ。

 春の日差しのように温かくて居心地のよい関係。
 ゆっくりと関係を深めていって、それからでもよいかと思っていた。確かにローラも貴族令嬢。結婚は家同士の結びつきが大切だから本人の気持ちなど関係ない。いつ、誰と婚約が成立してもおかしくない。

 俺達は何の約束もしていない。


 結婚か……
 プロポーズして、もし断られたら……
 そんなはずはないと思いたいが、もしそうなったら……
 よいお友達のままでいましょう、なんて言われたら……

 絶対、立ち直れないだろうな。


 はあ……

 俺の心の葛藤などお構いなしに部下達の笑い声が部屋の中に響いていた。