桜が舞い降りてくる暖かな朝を迎える毎日が始まっていた。
窓から入るほんのりとした空気が心地よい。そして、ルーティンのブラック珈琲の香り。

私、大倉彩乃(25歳)は、今日も片手にピンクのマグカップを持ちながら、朝ごはんの支度を始めた……

「ブルブル」

「あ、来た…」

私はそう呟きながら、左手でリビングのテーブルにあったスマホをひょいっと持ち上げた…

『おはよう』

私の彼氏、北野紫耀(30歳)は、毎日必ずLINEを入れてくる。たった4文字、ちょっとだけ物足りなさを感じて……


「おはようっか、今日が何の日がやっぱわかんないのか、、、いや、そもそも覚えてないなー
今日で、丸8年なのに」

ふぅ〜私は心の中でじれったい感覚を覚えた…



「あ、やばい、遅れちゃう」

私はわざと紫耀へ返信せず、玄関を開けた。

「ん?眩しい」

外は太陽がキラキラ光り、私の背中を押してくれるようだ。ポカポカした陽気に私は包まれていた。


「よし、今日も頑張らなきゃ」

私は毎日必ずそう言って玄関の鍵を閉める。
バタバタバタバタと2階から1階へと進む。

「さてと、今日の資料は大丈夫!完璧だから」


私はほんのり甘いピンク色のリボンが小さくついたスーツを着こなして。
ちょっと高めのヒールを履いてるにも関わらず最寄り駅【瀬戸町駅】まで、早足で歩き始めた…