遡ること数時間前、もうまもなく定時という時に智明からメールが来た。

"今日の夜、19:00にCHERRY BLOSSOMで"

最近は全然行ってなかったし、私の記憶に全くないプロポーズをした場所らしいから、できれば行きたくないのだが。

でも、近々足を運びたいなと思っていたから、ちょうどいいのかもしれない。

分かりました、と返事をして私は残りの業務に取り掛かった。

それから一日の業務を終え、ゆっくりとCHERRY BLOSSOMに向かう。

「ごめん、待った?」

「いいんだ、俺が誘ったんだから早く来て待ってるくらい当たり前だよ」

「そういうとこイケメンだよね」

「別にこれくらい当たり前だろ。さ、早く座って」

智明に促され席に着き、ぐるりと店内を見渡す。

今日は平日の夜だからか、お客さんは私たちの他に2人ほどいるだけだった。

「どうする? 最初何飲む?」

「そうねぇ⋯私は、スクリュードライバーにしようかな。飲み始めはいつもそれなの」

「じゃあ、俺も同じのにする」

スクリュードライバーを2人分頼み、今日の出来事を軽く話す。

結婚してから智明と外で2人で飲むなんて初めてだから、そわそわして落ち着かない。