思い出をくれたキミ

 そして月に1回の席替え。


 私はどうせキミと隣になんてなれないと思い込んでいたんだ。


 だから隣が誰かとか確認もしないで、自分の席に着こうとしたんだ。


 でも席に着く前に、私は立ち止まってしまった。


 だって私の新しい席の隣には、キミが座ってたんだもん。


 私、もう1回席の確認したんだからね?


 でも、私の席はキミの隣で合っていた。


 なんか嬉しいような、少し不安なような。すごく複雑な気持ちだったんだ。


 ゆっくりとキミの隣に座ると、私の心臓はまたうるさくなってしまった。


 ペンを持つ手が震えて、綺麗に字が書けなかった。


 何度も何度も時計を見た。


 このままずっとこの時間が続けばいいのに。でも、恥ずかしいから早く終わって欲しい。


 そんな矛盾が私の中で戦っていた。


 授業でペア活動があると、キミはすぐに私の方を向いて、話しかけてくれた。


 最初は受け応えるので精一杯。目を逸らさないようにするので精一杯だった。


 でも日にちを重ねるごとに、自分からも話しかけられるようになったし、目を合わせやすくもなった。


 もしこの時隣になっていなかったら、私は最後までキミとちゃんと話せなかったと思う。


 だから神様、本当にありがとう。