あの入社式からの帰り道、私はスマホで「小鳥遊」と検索した。読み方を調べる為だ。たかなしさん、だとわかった。

 いつか、彼にお礼を言いに行こう。
 あなたのお陰で、私は今こんなに充実して働くことができています。そう伝えに行こう。今度会う時は、立派な社会人になっていよう。そしたらきっと、また笑ってくれるよね。喜んでくれるよね。ああ、あの時の子がこんなに素敵になったのか、って。そう思われるように、頑張って働こう。



 だけど、私のそんな夢は永遠に叶うことはなかった。