AIは恋を知る

女の子はピクリとも動かなかった
きっと壊れてしまったのだろう

俺は専用の病院を探して急いで駆け込んだ
受付の看護師は壊れた女の子と俺を交互に見てキッと俺を睨んできた
「DVかよ…」とボソッと言っていたのは聞かなかったことにする

そのまま受付を終え、診察室へと案内された
女の子は別室へ連れていかれた

俺は医師の話を聞いていた
女の子の名前は薫
最新モデルの子らしい
何度も記憶のリセットを繰り返し、頭の部品が壊れ感情表現ができないようになってしまったらしい
医師は俺にいろいろと聞いてきた
薫のシリアルナンバーの情報からあの男のままだったからついでに俺に変えるよう手続きもした


薫の修理が終わり診察室から出ると廊下で薫が待っていた
顔のヒビが奇麗に治りふわりと優しい笑顔を浮かべていた
駆け寄ると薫は口を開いた
「黒川玲央様ですね、これからよろしくお願いします」
と丁寧なあいさつをした
俺は反射的に一礼していた