「俺、お前みたいな不器用で内気な奴、嫌いじゃない……」


「私も、優しいヤンキー男子は嫌いじゃないです……」


 お互いに顔を見合わせると、思わず笑ってしまった。

 嫌いじゃないってことは、裏返せば好きってことになる。

 堂々と好きって言い合ってたのかと思うと、何だか恥ずかしくなってしまうよね。


 ずっと視線を合わせて話すことができなかった、ヤンキー男子。

 今は、笑顔で彼の目を見つめたまま会話もできる。


 私の顔を見つめたままの若林くんが、とんでもないことを言い始めた。


「あれ? よく見たらお前、地味子じゃないような気がする?」


「えっ……」


「もしかして、隠れ地味子で本当は美人じゃね?」


 わわわわっ、ヤンキー男子がいきなり私の想像を遙かに超えることを言い始めた。

 ヘアピンで前髪を固定したから、素顔もハッキリ見られてしまう、恥ずかしい。


「お前、これから時間ある?」


「はい、だいじょうぶですけど……」


「じゃあ、俺と一緒に美容室へ行こうぜ」


「びっ、美容室に……」



 放課後、制服姿のままヤンキー男子と美容室って……