大型連休も終わって、あれから二週間が過ぎていた。


 五月の中旬、今日は金曜日。

 放課後の教室に、クラスメイトの姿は無い。

 窓際からグラウンドを見つめると、部活の生徒たちが後片付けをしてるだけ。


 すでに太陽は赤く染まり、山陰に沈む準備をしてる。


「私たち、まだ高校一年になったばかりだよ……」


 不安な表情でつぶやきながら、私は立ったまま一人で教室に居残りしてる。


「よっ、元気だったか!」


 背後から聞き慣れた声がしたので、急いで振り返る。


 開いたままの教室の扉から、彼が姿を現す。


 今日の放課後、処分が言い渡されるため、若林くんはこの時間帯に呼び出されていた。

 職員室で、生徒指導の先生から話を聞いて戻ってきたみたい。

 これで、来週から復学できるね。


「おはようございます……」


 私は胸元で両手を合わせ、足を内股にモゾモゾしながら小声で話す。


「ジミーちゃん、笑わせるなよ!もう夕方だぜっ!」


 クスクス笑いながら歩み寄ってくるのはヤンキー男子。



 茶髪ピアスの若林くんが、目の前に立っている……