エディロンは困惑した。
 国をまとめ上げようと努力する父をすぐそばで見守ってきただけあり、人を見る目は確かだと自負している。彼女の言葉には、嘘はないように感じる。

(これは予想外だ)

 エディロンは自分をまっすぐに見上げるシャルロットを見つめ返す。

 結婚を止めて欲しいとはっきりと言い切った態度とは裏腹に、よく見るとその手は小さく震えていた。本当はエディロンに意見するのが怖いのだろう。

「方法はなんでも構いませんの。医師が診察した結果、わたくしが子を成せない体だったというのはいかがでしょうか? もしくは、不貞を働いたとか。あ、なんなら病死したことにしていただいても構いませんわ」

 シャルロットはエディロンに向かって、必死に説得を試みようとしてくる。
 その必死な態度を、エディロンは冷静に観察した。