「……エディロン様か」

 何度もループして過去五回の人生では毎回結婚したけれど、シャルロットが恋をした相手は彼だけだった。その恋心は〝ドブネズミ〟という蔑みの言葉と共に無惨にも砕け散ったけれど。


 移りゆく景色の眺めながらそっと自分の髪に手を伸ばす。指先に触れたのは、金細工の髪飾りだ。幸せになれる特別な髪飾りだと言って、お母様が贈ってくれた大切な髪飾り。

「お母様、今度こそ上手く行くように見守っていてください」

 シャルロットはぎゅっと手を握る。
 今度こそ、絶対に生き残ってみせると胸に誓った。