そんな背景がある故に、ダナース国は国王がいるものの、議会は貴族からなる貴族院のほかに平民からなる衆議院があり、平民も政治に参加できるようになっていた。

 そして、ダナース国の現国王であるエディロン=デュカスは現在二十六歳。ダナース国を建国したレジスタンスのリーダーの息子だ。

 六歳でただの平民から国家元首の息子となったエディロンは、それはもう必死で勉強した。
 レジスタンスのリーダーとして組織をまとめた父に憧れ、剣や武術には特に力を入れた。しかし、他の勉強をおろそかにするわけでもなく国語、算数といった一般教養から歴史、政治、経済、はたまた科学分野までしっかりと学んだ。

 誇張ではなく、起きている時間はその全てを父のような存在になるための努力に費やしたと言っても過言ではない。

 その甲斐あって、三年ほど前に前国王が崩御し僅か二十三歳で即位したエディロンのことを、周囲は献身的に支えてくれた。エディロンにとって彼の側近達は臣下であり、盟友であり、なににも代えがたい家族のような存在である。

 ──普段は。