「大嘘だわ。そんな剣が送られてきたことがないことくらい、わたくしの侍女に確認すればすぐにわかります」

 シャルロットははっきりとそれを否定した。しかし、オハンナは首を横に振る。

「この剣は使い魔を使って届けました。それに、侍女は主が言えばそれに従います」

 それを聞いていたエリス国王がふむと頷く。

「確かに、シャルロットはこの結婚をとても嫌がっていたな」
「なっ!」

 シャルロットは目を大きく見開き、エリス国王を見つめた。

(あくまでも邪魔者はわたくしなのね……)

 エリス国王の態度からは、シャルロットを悪者に仕立ててこの場をなんとか収めたいという意図が透けて見えた。

 自分の父親に、心底がっかりした。
 エリス国王は王妃がシャルロットと冷遇していることを知っていた。それなのに、こんな作り話に乗るなんて──。