「エディロン陛下。言いたいことはわかったが、証拠もなしにそのような言いがかりを付けられては困る。せっかく友好の印に娘を嫁がせたというのに、これは酷い侮辱だ」

 黙ってエディロンとオハンナのやり取りを聞いていたエリス国王は、ようやく口を開いたかと思うとエディロンに抗議をする。それを聞いて、エディロンはギリッと歯ぎしりをした。

(どこまでもしらばっくれる気か)

 状況証拠は揃っているし、ハールス伯爵の証言も取った。これはオハンナが仕組んだことで間違いないのだ。

「すぐに謝罪してそれ相応の償いをしていただけると思っていたのに、残念です。証拠なら、ここにあります」

 エディロンはおもむろに黒い布に包まれた長細いものを出す。その布を開けると、中から出てきたのは長剣だ。
 謝罪の言葉がすぐに出るならば、この剣をここで出すつもりはなかった。しかし、向こうがそのつもりならこちらも強硬姿勢に出ざるを得ない。

「これは、エリス国の剣ではありませんか? そして、ここに付いている紋様は剣になんらかの魔法の力を与える魔法陣だとシャルロットが証言しています」