「ところでシャルロット。今、陛下と言ったか?」
「え? はい、言いました」

 何か問題のあることを言っただろうかと考え、シャルロットは小首を傾げる。

「シャルロット。あなたは今日より、俺の妃だ。公式の場以外では『エディロン』と名前を」
「あ……」

 シャルロットは一瞬口ごもる。

「エディロン様」

 意を決してその名を呼び、エディロンを恐る恐る見上げる。
 名前を呼ぶだけなのに、どうしてこんなに気恥ずかしいのだろう。ほんのりの頬が熱を帯びるのを感じる。

 一方のエディロンは蕩けそうな眼差しをシャルロットへと向けた。

「あなたに名前を呼ばれるのは、嬉しいものだな。自分の名前が特別なものになった気がする」
「わたくしも、エディロン様の名前を呼ぶだけで胸がむず痒いです……」

 おずおずとそう告げると、エディロンは驚いたように目を見開く。

「参ったな。俺の妃は言うことなすことの全てが愛らしすぎる」