暴れている牛を仕留めるのは、例え騎士であっても命がけのはずだ。それを一瞬で?

(やっぱり、夢なのね)

 夢の中でもエディロンはやっぱりシャルロットを優しく気遣っている。そんな姿を見て、胸の内に暖かいものが広がった。

「シャルロット? なぜ笑っている」

 エディロンが訝しげに眉根を寄せる。

 笑っていただろうか?
 笑っていたかもしれない。

 だって──。

 この人がとても愛おしく感じたのだ。

「陛下」
「どうした? どこか痛いのか?」
「あなたのことが好きです」

 エディロンがハッとしたように息を呑む。

 ずっと言えなかった、自分で気付いていたのに気付かないふりをしていた言葉がようやく口から零れる。

 もうずっと昔から、この人が好きだった。

 ──一度目の人生で、出会った瞬間から。