「陛下。ここはわたくしにお任せください」
「シャルロットに?」

 エディロンは困惑した表情を見せた。

 エディロンは明らかに怒っている。
 けれど、今ここで来賓客であるアリール王子に怒りをぶつけたりすれば、十中八九『ダナース国は来賓客のもてなしもできない三流国家』と尾びれに背びれ、場合によっては完全な作り話を吹聴されて国益を損なうことになる。

「はい。任せてください」

 信じてほしいと意思を込めて見上げると、エディロンは少し迷うような表情を見せたものの小さく頷いた。

「アリール殿下。その女性騎士がいかがなされました?」

 シャルロットは何が起こっているか全く知らない様子で、落ち着いた口調でアリール王子に声をかける。呼びかけに気付いたアリール王子はこちらを振り返った。

「これはシャルロット王女。彼女にはもてなしの心が足りていないようだ」
「それは申し訳ございません。不愉快な想いをさせました」