この衣装は、仲睦まじい婚約者同士を装ったほうが対外的にいいだろうということで、ふたりで相談して決めたものだ。

 エディロンはエスコートするための片手をシャルロットに差し出す。シャルロットはじっとエディロンに見つめられて、首を傾げた。

「どうかされましたか?」
「俺の婚約者は美しいなと思っていたところだ」

 言われた瞬間、顔が紅潮するのがわかった。キャッと周囲にいる女官達が黄色い悲鳴を上げる。

「それは……どうもありがとうございます」

 演技だとわかっていても、どぎまぎしてしまう。

(敵を欺くにはまず味方からって言うものね)

 祝賀パーティーはもう始まっている。シャルロットは自分に「これは演技よ」と心の中で言い聞かせる。

「陛下も素敵ですわ」