「いや。俺のほうこそ礼を言おう」
「何への礼でしょうか?」
「ダナース国の国民に寄り添ってくれた礼だ」

 すると、シャルロットは首を横に振った。

「王家が民に寄り添うのは当然のことでしょう? むしろ、わたくしはここに来て色々驚きました。ダナース国はとても福祉制度が整っていますね」

 シャルロットはそう言うと、ふと思い出したように口を開く。

「陛下はラフィエ国の国立奨学金制度をご存じですか?」
「国立奨学金制度? いや、知らないな」
「ラフィエ国が国として行っている就学支援制度なのですが、高額な費用がかかる学校への進学を希望する優秀な人材に、金利ゼロでお金を貸し付けるのです」
「金利ゼロで?」
「はい。全ての分野の学校を国立や無料にすることは難しいので、そうやって優秀な人材を伸ばすことに注力しているのです」
「ほう……」