境界線を越えたくて

「ごめんね」

 彼女への想いが募れば募るほど、また彼女の愛を感じてしまうほどに伸し掛かったのは罪悪感。

「え?」

 何故なら俺は、彼女と付き合う気など毛頭ないから。

「ごめん……」

 ギリギリまで詰め寄ることはできても俺が越えられなかったその境界線。それを飛び越えてくれた彼女の動機を予想してしまえば辛くなる。

 水沢さんは俺を好き。俺も水沢さんが好き。

 けれどふたりにとって一番良い関係は、恋仲ではない。