悪女たちの女子会

話を全部聞き終わったあとでも、あたしは信じられなかった。

あのマイカが?

あたしに地道な嫌がらせをするくらい根気強いマイカが。

ありえない。


あ、でも罪悪感に押し潰されてグループを抜けたんだっけ……。

そう思うと、マイカって意外と繊細だ。今までどうして気付かなかったんだろう。

繊細なら、ありえるかもしれない。

姫の座を追われたことで、マイカはおかしくなった。


それって、あたしのせ……。

いや。


そもそもマイカの自殺の原因は、本当にグループを抜けたことなのか?

学校を休んでる間にノゾムも知らないような何かがあったのかもしれない。

グループを抜けたくらいで、マイカが死ぬはずない。


居場所がなくなったなら、また新しい居場所を作ればいいんだから。

マイカならそれができるでしょう?

あなたはあたしと同類なんだから。


まあでも、姫の座を奪うなんて趣味はそろそろ卒業しよう。

姫がいなくなったあと、カイトたちみたいに残った男の子に勘違いされたら面倒だし。

何より、あたしには大好きな彼氏のケントがいる。


ケントは嫉妬深くて、あたしがちょっとでも他の男と話すと殴る。

腕とか足とか背中とか。

殴られたら痛いし、痣になって嫌なんだよね。

だからケントを嫉妬させるようなことは控えなきゃ。


「ねえ君、綺麗だね」

駅の近くまでやってくると、大学生くらいの男の人が話しかけてきた。

「今から俺と遊ばない?」

こんなのはもう慣れっこだ。

「ごめんなさい、彼氏が待ってるの」

とびきりの笑顔を向ければ、男の人は鼻を伸ばしたっきり何も喋らなくなった。

その隙にあたしは駅へと向かう。


駅の停留所からバスに乗る。

外は暗く、鏡になった窓にあたしの顔が映り込んだ。

平行二重のぱっちりした瞳に高い鼻、唇は程よく厚くて、肌は色白。

胸の下ほどまである黒髪は完璧に手入れされたサラサラストレートだ。

……綺麗。


美しさって罪だ。

ね、美香子。


~おしまい~