卒業式当日。
制服の胸ポケットには、花の飾りが付けられた。
卒業式は、合唱などはなく、淡々と進められていく。
密度の濃い時間を過ごしたはずなのに、中学の時のような感動って無いんだな。
あっという間に終わった卒業式。
教室に戻ると、最後のホームルームが行われた。
頑固な先生が泣くもんだから、少しだけつられて泣いてしまった。
「あかり〜寂しいよ」
「里奈、大学も一緒じゃん」
「そうだけどさ」
名残惜しいのか、ホームルームが終わってからも、教室には生徒が何人も残っていた。
写真を撮ったり、アルバムにメッセージを書いたり。
「里奈、私ちょっと東棟行ってくる」
「えー?何しに行くの?」
「…約束っていうか、呼ばれてて」
誰にとは言わなかったけれど、勘のいい里奈はすぐに察した様子だ。
「行ってらっしゃーい」
さっきまで寂しいと泣き真似をしていたのに、ニコニコと笑顔で送り出してくれた。



