せ ん にゅ う

バーコードが、全身をプルプル震わせる。

「よよ、よくも私をバーコードなどと……!」

「バーコードでなければ細っちぃワカメよ!」

「わわっ、ワカメだと!? くっ、諸君、出てきたまえ!」

呼び掛けに合わせて、周囲から男子が現れた。

見たところ、柔道部や剣道部っぽそう……

やば……力で捕獲しようってわけ……?

「ふっふ、さすがにこの包囲では威勢も保てないだろう。私をバーコード呼ばわり……いや、不法な侵入をしたことを悔いて、縄につくがいい」

う……いくらあたしでも、運動部の猛者に囲まれたんじゃつらい……

煙幕はさっき使っちゃったし、どうすれば。

「なに固まってんだ、お前」

「!」

唐突に、声が降ってきた。

見上げると、木の上にあたしみたいな黒づくめの男。

バーコードが叫ぶ。

「な、仲間がいたのか!? 有志諸君っ、ひとりでも捕まえるんだ!」

一斉に飛びかかってくる男子達。

だけど頭上の男が、それより一瞬早く、なにかを地面へ投げつけた。

刹那、閃光と、爆音。

「これは……!!」

照明弾!!

光と音が、あたし達の動きを凍結させる!

彼が、目の前に着地した。

その口が、「逃げるぞ、バカ」と言っていた。