せ ん にゅ う

一番先頭にいた男子の顔面を、踏んづける。

ブーツだから、痛いぞ~♪

「ぐは……」

人ひとり分の体重を頭にかけられて立っていられるわけないし。

先頭くんはバタンと倒れた。

「あっ、コイツ!!」

驚く二番手を、あたしは見上げる。

そのまま、

「やっ!!」

「!? ごは!?」

膝を伸ばす勢いで頭突き!

二番目も倒れる。鼻血吹きながら。

って、あ、わ、帽子が取れ……!

「あ――」

ラスト――三人目の男子と、目が合う。

あたしは、にっこりした。

「見たね?」

「(ごくり)」

「忘れな!!」

ズゴンッ!

あたしの得意技、ハイキックが側頭部に決まり、男子は壁とキスをした。

「ふう……」

落っこちたキャップを広い、深く被り直す。

ケータイを耳に当てた。

『ユリちゃーん、相手はイケメンだよぉ? 顔は外してあげたあ?』

「もちろん」

嘘だ。三人とも顔面にクリーンヒットさせたし。