せ ん にゅ う

校舎からの雄叫びは、徐々に勢いを増しながら、外へ溢れ出てきた。

まずい、ローラー作戦を取られたら、いくらあたしでも厳しい。

とにかく、人が来なさそうなところで体勢を立て直さないと……!

枝にロックしていたヤジリを解除して、今度は校舎に向ける。

狙うのは屋上。

バシュ!

届いた!

フェンスに絡み付いたヤジリが、トゲを広げてロックされる。

リングを木の幹にくくりつけて、ワイヤーをピンと張る。

鞄から電動滑車を取り出して、ワイヤーに。

スイッチひとつで登りも下りも頑張ってくれる装置だ。

これで、一気に校舎の屋上まで。

早くも校舎裏に出てきた男子がいたけど……

さすがに頭の上を女子高生がワイヤーアクションしてるなんて思わないっしょ。

っつーか、スパッツ履いてるけど、上は見るな! って願いが通じただけかな?