「やめて」って何回も言ったけど無駄だった。
逆に事態はどんどん悪くなる。

「紗和、気にしないですごすのが1番だよ。ね?」

お姉ちゃんは顔を近づけて言ってくる。

「うん、そうだね。気にしない!!」

私は言った。



お兄ちゃんの事故の真実は―・・・・

お兄ちゃんは去年、大学1年生だった。とても頭がよくて、理数系だった。
将来がとても有望なパパとママの自慢の息子だった。

そんなある日―、

お兄ちゃんは歩道を歩いていた。

そしたら、いきなりお兄ちゃんのところに車が突っ込んできたんだ。

もちろん、お兄ちゃんは即死。

その事故を起こしたのはね・・・・

拓徒の年の離れたお兄さん。

拓徒と7つぐらい歳が離れてるんだって。

そのお兄さんは事故当時、もう家を出て行っていて、
1人で暮らしていた。

まじめでしっかり物のお兄さんなんだって。

仕事で車を運転していたときに操作をあやまってお兄ちゃんを引いてしまった。