「先輩、これ受け取ってください」
そう言って差し出したのは、一枚の封筒。
それを見て全てを理解した様に頷いた先輩はその封筒を丁寧に受け取った。
「先輩が先輩で良かったですっ⋯」
「なんだそれ」
「二年間、苦しい時もあっしっ⋯ぶっちゃけ今も苦しいですけど、でも先輩がいたから私の二年間は毎日キラキラしてました」
「うん、ありがとう」
「ありがとうございましたっ⋯」
二年間、たくさんの思い出をくれて。
キラキラした毎日をくれて。
温かくて大切な想いを教えてくれて、ありがとう、津久井先輩。
「ちゃんと、諦めますね。ちゃんと、進みますから⋯、だからどうか先輩も春からの新しい生活頑張ってください」
「柚葉も来年は三年だし、色々大変だろうけど頑張ってな」
「へへ、先輩に応援されたら頑張るしかないですね」
じわりとまだ涙は浮んでいるけれど、最後なんだから泣き顔ではなく笑顔でこの恋を終わりにしたい。
「先輩、最後に握手、いいですか?」
「うん、いいよ」
大好きだった大きな手が私の方に差し出されて⋯。
その大きな手で頭を撫でてもらった事は二回くらいあったなあ。
でも手を繋いだ事はなかったから、きっと先輩の手に触れるのはこれが最初で最後になるのだなとなんだか感慨深くなる。
重なった手のひらの温もりは、想像通り温かくて。ずっと、ずっと、ずっと、ずっと離したくないなあって、そんな事を考えていた。



