「津久井先輩」 【完】








津久井先輩への最後の告白は、緊張とか不安とかそういう感情ではなくて、ただただ溢れ出す「好き」という想いを真っ直ぐに伝えるだけだった。


私の想いに応えて欲しい。

そういう気持ちがなかったわけではないけれど、「好き」という気持ちを言葉にして伝えた時に胸を埋めつくしたのはどこか晴れ晴れしい気持ちで。



それはきっと、結果がわかっていたからかもしれない。


諦めなくてはならないと一ヶ月間苦しんだおかげかもしれない。





「ごめん、柚葉の気持ちには応えられない」




だから、そう言われた瞬間も、やっぱりなって、悲しさと悔しさと、どこかスッキリした思いがあって⋯、いや、スッキリはちょっと言い過ぎたかもしれないけど、なんだか心の中が整理された気がして。




「先輩はどうしても私と同じ気持ちにはなれなかったですか⋯?」

「柚葉は何にでも一生懸命で、良い子だなって思う事は何度もあったよ。会うといつも笑顔で名前を呼んでくれて、多分、どの後輩よりも柚葉と喋った時間が長かったんじゃないかな」

「はい⋯」

「可愛いなって、思う」

「っ」

「でもそれは後輩としてで⋯、柚葉の事は後輩としてしか見れない」

「⋯っ」

「ごめんね」




こんなおめでたい日に先輩に「ごめん」なんて言わせる私は本当に悪い後輩だ。

だけどごめんなさい。

あの日の様に「ごめん」と言う先輩の言葉を遮って何かを言う事が出来ないです。


結果なんてわかっていたのに、ほんの少しだけ、清々しいとさえ思っていたのに。

やっぱりそれは強がりだったみたい。

やっぱりまだまだ諦めきれていなかったみたいです。



式の間はなんとか堪えた涙が今は頬を伝う。

何度頬を拭っても瞬きする度溢れ落ちる雫はキリがない。