「津久井先輩」 【完】





式後のグラウンドで卒業生と下級生、先生などが別れの挨拶などをしている中、津久井先輩を呼び出した私は今、先輩の目にもあの日と違って映っているだろうか。



体育館裏、あの日と同じ場所で、初めて想いを告げた場所で今日、私は最後の告白をする。





「津久井先輩、ご卒業おめでとうございます」

「ありがとう」

「この間言いそびれちゃったんで今言わせて欲しいんですけど、大学合格もおめでとうございます」

「ん、ありがとう」




そよそよと吹く風が私たちを包み、その温かさと優しさがもうすぐ春がやってくる事を告げる。


私の言葉に優しく目元を下げて笑うその表情は私の大好きな笑顔そのもので、キュッとなる胸はどうしようもないくらい先輩が好きだと叫んでいる。




「先輩、私、この二年間もの凄く頑張ったんです」

「うん」

「先輩の瞳に映りたくて、先輩と話をしたくて、先輩に可愛いって思ってもらいたくて⋯っ好きって、思って欲しくて⋯、」

「⋯うん」

「この一ヶ月間もっ、私なりに頑張ったんですよっ⋯?」



先輩が自由登校になって会えなくなってからも、毎日メッセージを送り続けたし、今まで恥ずかしかったけど、文字にして想いを伝え続けたよ。

会えるかどうかわからなくても毎朝早起きして身支度を整えたし、もうタイムリミットなんだなってわかっていても足掻き続けようとこの二年間と同じように先輩に好きになってもらいたい一心で頑張ったつもりだった。



──────だけど、頑張っても叶わない想いはあるんだね。


人の気持ちは、どんなに願っても変えられない事もあるんだね、先輩。