「津久井先輩」 【完】







泣いても、いくら時間が止まってくれたらと願っても、変わらず明日はやってくる。


今日もメッセージアプリで先輩に「おはようございます!」と送信した。


これはこの一ヶ月間の習慣になっていて、先輩も一度も無視をせずに「おはよう」と返してくれる。


いい加減諦めろって無視してくれてもいいはずなのにそうしない先輩はやっぱりどこまでも優しくてどこまでも残酷だ。



先輩がこんなに優しいから私は諦められないんですよ、って。

好きにさせた責任取ってよ、って。


全部先輩に押し付けてしまいたい。




ピコンと鳴ったのはメッセージアプリの通知音。今日も先輩は律儀に返事をくれたらしい。


もう、本当に狡いなあ。

明日が卒業式だっていうのに全然諦めさせてくれないじゃないか。


嬉しさと、なんとも言えない苦しさと。

それでもやっぱり嬉しさが上回って。




「優しすぎるよ、先輩」








その夜、目前に迫った卒業に私は一枚便箋を手に取った。