「津久井先輩」 【完】






一日一日が過ぎていく中で、刻一刻と迫るタイムリミットに怯える日々はもしかしたらこの二年間で一番辛く苦しい時間だったかもしれない。

もう一ヶ月後には私は三年生になって、そこで過ごす日々に先輩は存在していなくて。

県外の大学に進学してしまう先輩とは街で偶然会うこともないだろう。


雪が溶けたら、桜が咲いたら、春になったら。


先輩は新しい生活の中でどんな風に過ごしていくのだろう。

先輩と言葉を交わせる時間も、あの瞳に映れる瞬間も残りわずかだ。



「⋯っ先輩、」



一人ぼっちの放課後の教室で、三月になったカレンダーを眺める。

いち、に、さん⋯と卒業式までの日数を数えては、もう本当の本当に諦めなくていけないのだと怖くなった。



辛くて、苦しくて、寂しくて。


このまま時間が止まってしまえばいいのにと夕暮れのオレンジに包まれる教室で一人泣いた。