『とくべつ』が好きなわけでもない。


あの子が『月』で、私は『星』。


認識させられる。私は『嘘』ばかりだね。


瞳から灯りが消えそうな瞬間(とき)、強く手首を引かれた。夜空の月のように、力強く輝く瞳に惹き寄せられてしまう。


「今にも消えてしまいそうだったから」

「……だからなに?」

「だから、俺と行かないってこと」


そんな風に言われて、何故かついて行ってしまったんだ。心は拒絶して、でも身体は羽のようにふわりと軽い。


心にさす月灯り。やわらかく淡い、雪のように白く美しい。

「……“月”みたい」

たくさんある『星』の中から、手を引いてくれた。明るい方へと、導いてくれた。

「月は星があるから輝けるし、星は星があるから輝ける」

「……そうだね、みんなそれぞれ違ってもいいんだね」

泣き笑いになってしまった。いくら傷ついても嘘を重ねても――『月』があるのなら。



私のただひとつの『月』が、見守っててくれる。