私を抱き抱え、お姫様だっこをした静哉さんは、再び勢い良く階段を登り始める。

「莉羅、ここに座ってろ」

「は、はい……」

 屋上の扉を開けると、静哉さんはそっと私をアスファルトの上に降ろした。

「大丈夫か、莉羅? 足痛いだろ?」

「はい。 でも、大丈夫です……」

「莉羅、俺はお前をこれ以上……傷付けたくない」

 静哉さんは私の頬に優しく触れると、そっと撫でていく。

「……私は、あなたには死んでほしくないです」

「何言ってるんだ。……俺だってお前を、莉羅を失いたくない」

 そう言われると、思わず泣きそうになってしまう。

「俺が必ず、お前を守ると約束する」

「静哉さん……」

 ダメだ、泣いちゃダメなのに……。ダメだって分かってるのに、泣いてしまうよ。

「……莉羅、お前をこんなことに巻き込んでしまって本当に悪かった」

「っ……ううん」

 静哉さんも今にも、泣きそうな顔になっている。

「莉羅……っ」

「っ、んっ……」

 私を引き寄せた静哉さんは、私の唇にキスをする。

「……莉羅、俺は莉羅のことが好きだよ」

「っ……私も、あなたが好きっ……」

 私は、静哉さんのそばを離れたくない。……離れたくないの。