「きゃっ……!!」

 ヒールを履いているせいか、足を躓かせてしまい、転んでしまった。

「莉羅!? 大丈夫か……!!」

「だ、大丈夫です……いったっ」

 急いで立ち上がろうとするも、足を挫いてしまったみたいで上手く立ち上がれそうになかった。

「莉羅、立てるか?」

 私に慌てて駆け寄ってくる静哉さん。

「足を挫いてしまったみたいで……すみません」

 私ってば、なんでこんな時に……。

「ほら、背中に乗れ」

「え……?」

「おぶってやるから、乗れよ」

 静哉さんは、私にそう言ってくれる。

「でも……早くしないと追いつかれちゃうから、静哉さん先に逃げてください」

 私のことなんていいから、静哉さんだけでも逃げてほしい。

「バカ!お前を置いて逃げられる訳がないだろ!?」

「し……ずや、さん……」

 どうして……どうして? 私なんて置いて行けばいいのに。

「お前は俺の恋人だろ? 恋人を置いて逃げる訳にはいかないんだよ!」

「静哉、さん……」

 ダメ、ここで泣いたら私は負けだ。怖いのはもちろんだけど、こんな時まで優しい静哉さんに、私は何も言い返せなかった。

「行くぞ、莉羅! しっかり俺に掴まってろ!」