不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました

いけない、いけない。ランドールの"デレ"を手に入れるためにも、ここはオリオンと計画した通りにことを進めなくては。

国王は予想通り、ソフィアとランドールを婚約させようと思うと言い出した。

「ランドールはソフィアの従兄でもあるからな。きっとお前を守ってくれるよ」

ゲームでは守るどころか断罪してくるが、ランドールとソフィアの婚約がソフィアのためだと信じ切っている父にはそんな未来はこれっぽっちも見えていないのだろう。

「そうだと嬉しいのですけど」

「そうだとも。なに、ランドールもまだお前にどのような態度を取ればいいのかわかっていないだけだよ。根はいいやつなんだ、ソフィアのことを知ればきっと好きになってくれる。間違いない」

すごい自信である。親バカ全開だ。ランドールがソフィアに向ける氷の刃のような視線に気がついていないのだろう。

……お気楽な国王様だ。

(もちろん、そうあってほしいけどね。でも、ゲームじゃないんだから、どうやったらランドールに好かれるか、さっぱりわかんないわ)

ソフィアはこっそりため息をつくと、オリオンとの打ち合わせを思い出した。

――いい? 国王に婚約の話を持ちかけられたら、こう言うのよ?

(わかってるわオリオン。演劇部で鍛えた演技力で、なんとしても勝利をおさめてみせるわよ!)

ソフィアはぐっと(こぶし)を握りしめると、悲しそうな表情を作って、オリオンの指示通りの言葉を口にした。

「あの……お父様。わたし、婚約ではなく、早く結婚したいですわ。その……、お義母(かあ)様はわたしがここで生活することを、快く思われていませんもの」