不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました

けれども今のソフィアにその心配は無縁だった。

まるで一日遅れの誕生日プレゼントをもらうかのようにわくわくした面持ちで訊ね返すと、王は満足そうに頷いた。

「ランドールは知っているだろう?」

「ええ、もちろんよ」

首肯しつつ、ソフィアはゲームではなく、この一年のランドールを思い浮かべた。

ランドールは父親である王弟エドリックが城に持っていた部屋をそのまま譲り受けていて、城で寝泊まりすることも多い。エドリックに代わり国王の補佐のひとりとしての仕事もあるので、なかなか忙しい身だ。

城で暮らしはじめたソフィアと廊下や庭などで顔を合わせることもあり、ソフィアが城へ連れてこられてすぐのころは、愛想はないが普通に接してくれていたのだが――

(もうすっかり嫌われちゃっているのよね)

十中八九、ランドールがソフィアを嫌うように仕向けたのはキーラだろう。

ランドールから『キーラを階段から突き落としたらしいな』だの『キーラのドレスを破いたと聞いたが、どうしてそのようなことをしたんだ』だの、身に覚えのないことで幾度となく詰問されれば、背後にキーラがいるだろうことには鈍いソフィアでもすぐに気がつく。

(これは、ゲームの設定通り、ランドールはすでにわたしのことを"偽王女"と思っているんでしょうねぇ)

大好きなはしばみ色の瞳で睨みつけられたのは一度や二度ではなく――

(……ああ、やばい、萌える……)

ソフィアはうっとりした。ゲームのランドールはデレる前はツンケンしていて、そのギャップがたまらないのだ。

「ソフィア、聞いているか?」

「ええ、聞いていますわお父様」