不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました

しかし、似た部分の多いふたりも、決定的に違う部分がある。

にこにことよく笑う王は、人のよさが前面に出た柔和な顔立ちをしているのだ。

いつもしかめっ面のランドールとは大違いである。

ゲームの設定集では『ソフィアのことを不憫に思っている』としか書かれていなかった父王は、なぜかソフィアに激甘だった。

政務で忙しいのでソフィアと会う時間はなかなか取れないけれど、会えばいつも優しく微笑んでお菓子を勧めてくる。今日も、国王が座るソファの前には、たくさんのお菓子が用意されていた。

(でも、優しいだけなのよねえ)

ソフィアは父に微笑み返しつつ、心の中では複雑な思いだった。

こんなに優しい父王だが、性格はどちらかといえば気弱で、気の強い王妃にいつも押し切られて逆らえない。

ソフィアを城へ迎え入れることについては頑張ったらしいがただそれだけで――つまるところ、ソフィアが城で快適に暮らすためには、なんの役にも立たない父親だった。

「ソフィア、お前にいい話があるよ」

心底いい話だと信じている国王はもったいぶった口調でそう切り出した。

(いいお話、ねえ)

前世の記憶を持ち、なおかつランドールが最推しのソフィアからすれば、国王がこれから告げようとしている話は"いい話"だろう。

けれども、ゲームの"悪役令嬢ソフィア"からすれば最悪な申し出だった。

ソフィアはランドールの婚約を文字通り"監視"と受け取ったから、これを機にさらに性格がひねくれてしまうのだ。

「お父様、いいお話って?」