不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました

婚約破棄イベント。ランドールルートであれば必ず発生する断罪イベントだ。

ランドールルート以外であればイベントとしては発生しないが、『ランドールはソフィアとの婚約を破棄したらしい』という話がストーリー終盤で登場する。

どのルートであっても、ソフィアとランドールが結ばれることはない。

(まあ確かに、結婚してれば婚約破棄イベントが起こるはずもないわよね?)

オリオンの言うことには一理ある気がするが、かといってそんなに簡単にいくだろうか。

ソフィアが腕を組んで「うーん」と唸ると、オリオンがとどめの一言を放った。

「わかってないわね。いい? あんたとランドールが結婚すれば……、ランドールは、あんたのものよ」

ピシャーン! とソフィアの脳天に雷が落ちた。

ランドールが、ソフィアのもの。

ソフィアの脳裏に、彼が満面の笑みを浮かべたゲームのスチルが蘇る。

「いい……!」

単純なソフィアは、ガッツポーズで食いついた。



* * *



ソフィアの記憶の中にある『グラストーナの雪』の設定資料集によると、ソフィア・グラストーナとランドールが婚約を交わしたのはソフィアが十五歳の春――四月のこと。

日本人が日本人向けに開発した乙女ゲームの舞台であるグラストーナ国には、日本と同じように春夏秋冬が存在する。

一年も十二か月なので、非常にわかりやすい。