カモミール

 私は彼が手をどけた瞬間、彼の唇に自分の唇を重ねた。

「お、おい」
 
 たじろぐ真崎さん。

「俺こういうの久しぶりなんだよ。びっくりするじゃないか」

「えへへ。真崎さん、かわいい」

「おじさんにかわいいはないだろう。くそぅ、調子狂うな。久しぶり過ぎて勝手が分からん。童貞みてぇだ」

 彼は困惑して頭をがしがしかいている。

「今はこれで勘弁してくれ」

 彼は私の頭を抱き、私がさっきしたのよりずっと大人なキスを落とした。

口髭が当たって少しくすぐったくて、タバコと焼酎の匂いがした。