好きだけど、好きなのに、好きだから

誠は、私達のそのやり取りを黙って見ている。

だけど、苛立ちを隠せていない。

誠の性格をよく知っている私にはわかる。

佐伯君は誠に背を向けて、誠はその背中に話しかける。

「おい!なに優里亜の前で格好つけてんだよ」

私は、交互に二人に視線を向けた。

きっと、佐伯君は格好つけたんじゃない。

誠に、まぐれではないということを見せたかったのだと思う。