世界が終わる日に、俺は君の手を握る。

夏稀がいる帰り道、
それは穏やかで心地良い。

部活の話や家での出来事など、他愛のない話をしながら電車に乗り、駅から家へと向かう。

「海、綺麗だね」

夏稀が言う。
夏稀の口癖のようなものだった。

「ほんとだな」

俺はいつものようにそう応える。

本当に綺麗だ。
夕焼けが海をオレンジ色に染め、キラキラと揺らめいている。
一日練習の疲れも相まって、この景色が染みるのだろう。
今日のこの景色は特別綺麗に見えた。

家に着く少し前に、夏稀は足を止めた。

「……裕也、誕生日おめでとう」

夏稀はカバンから袋を取り出した。

「え、ありがとう、、開けてもいい?」

俺が言うと「うん」と頷いた。

中にはフェイスタオルが入っていた。

「タオルじゃん!めっちゃ使うから助かるよ、ありがとう」

俺が言うと、夏稀は気まずそうにこちらを見た。

「……繫ちゃんと被っちゃって、ごめんね。要らなかったら捨てちゃってもいいから」

夏稀は微笑む。

無理をしている顔だ。

「いや捨てないよ、ありがたく使わせてもらうわ!」

俺はそう明るく応えた。

夏稀は「そう?ありがとう、そう言ってくれて。」と笑う。

「じゃあ、今度会うのは始業式かな。またね」

夏稀が言う。

「おう、またな」

俺はそう言って家へ入っていく夏稀を見送り、自宅へ入った。