世界が終わる日に、俺は君の手を握る。

練習が終わり、着替えを済ませて校門へ向かう。

練習中、観客席に夏稀がいた。
他にも見に来ている女子はいたが、彼女は一人でスケッチブックに向かい合っていた。
ただひたすらに、夢中になっていた。

「おつかれ」

後ろから肩を叩いて言ったのは中条だった。
中条の左手から、塩分タブレットが出てきた。

「おう、いつもさんきゅーな」

中条は「うん」と小さく応える。

中条はいつも練習の最後、全員に差し入れをしている。
小さな気遣いをマメにしてくれるのが、とても助かっている。

当たり前のマネージャーの仕事もこなしてくれるのは、選手として感謝しかない。

「あ、あと、、、」

中条はカバンの中を漁る。

「誕生日おめでとう。これプレゼント。」

「え、さんきゅー!俺今日初めて貰ったわ」

中条は俺にフェイスタオルを差し出した。
綺麗にリボンでラッピングされている。

「明日から使わせてもらうわ」

中条は「うん」と小さく微笑む。

「あ、、」

校門を出ると、夏稀が声を漏らした。
俺たちが終わるのを待っていたのだろうか。

「、、、私用事あるから、じゃあね」

中条は夏稀の姿を見ると体の向きを変えて駅とは違う方向に歩き出した。

「お、おう。またなー」

「繫ちゃん、、、またね。」

夏稀は少し困った顔をして手を振った。

夏稀と中条で何かあったのだろうか。
主に高校から夏稀と中条はよく一緒にいるようになった。
中学からそんな兆しはあったのだが、元々俺が中条と仲が良かったのが理由なのかもしれない。

「夏稀はそのまま帰る感じか?」

「うん、電車で帰るよ」

「じゃあいくか」

そう、俺たちは駅に向かって歩き始めた。