「あの、すいません」


 王子が帰り際に私に声をかけた。


「は、はい、どうされましたか…?」


「店員さんって、N高生ですか?」


「はい…そうですけど」


 N高校とは、私が転校してきた高校のこと。


 というか、なんでわかったんだろう…?


「じゃあ、明日の昼休みに屋上に来てもらえませんか?」


 昼休みに、屋上?…なんか怖いけど、断る理由もないし…。


「わ、わかりました…」


 王子は私の返事を聞くと、ではまた明日、と言って外へ出て行った。


 少し微妙だけど、王子と初めて話せた。それはとても嬉しかった。