苦くて、甘い

『外に出てきて』


 道宮先輩を連れてちーちゃん家の前に立ち、ちーちゃんに連絡した。


 道宮先輩がちーちゃんと話したいけど、自分が呼んでも会ってくれないと思うからってさ。


 すぐにちーちゃんが家から姿を現した。


「つーちゃん、どうしたの、こんな夜に」


「いやーなんか頼まれてね?…じゃ、どうぞ」


 少し後ろを見て、先輩に合図を送る。


 ゆっくりと、ちーちゃんの前に先輩が姿を現した。


「じゃあ私はこれで。…道宮先輩、ちーちゃん泣かしたら許しませんから」


 と、道宮先輩に小声で言って、私は自分の家へと向かった。


「…七瀬ちゃん」


「上山先輩…」


「よく頑張ったね。…おいで」


 私は先輩の胸に飛び込んだ。


「…上山先輩、本当に私とずっと一緒にいてくれますか?」


「うん、ずっとそばにいるよ」


 先輩の言葉一つ一つが暖かい。


「…私と、付き合ってください」


「…喜んで!よろしくね、つくしちゃん」


「え、今私の名前…!」


「本当に知らないと思ったの?」


 こうして私は上山先輩と付き合うことになった。これから毎日楽しくなりそうだ。


 ちーちゃんもうまくいってるといいな。