「チハル先輩、いいんですか?」


 人通りの少ない別棟の廊下に来た時に、リツくんが私に言った。


「…うん、これでいいの」


 あの時、私が先輩に言った言葉。


『…別にいいじゃないですか。ニセモノですし』


 自分で言いながら、とても心がえぐられる感じがした。


 そう、私と先輩はウソという鎖で繋がった関係。


 もう、このまま終わらせた方がいい。


 隣を歩くリツくんにバレないように、静かに涙を拭った。