「ちーちゃん、どうしたの?…なんか元気ないけど」


「…なんでもないよ」


 次の日の学校、私はいつも通りつーちゃんと話していた。


 私が元気ないの、つーちゃんにはわかるのかな。


 でも、その理由は言えない。


「そうなの?」


「うん」


 ごめんね、つーちゃん。めんどくさいなって、つーちゃんには思われたくないんだ。


 その時、ガララララッと教室のドアが開いた。


 ドアから現れたのは、…道宮先輩だった。


 そして大股で教室に入って来て、私の左腕を掴んだ。


「…立花、来て」


「…え?」


 グイッと腕を持ち上げられて、力任せに立たされる。


 そして無理矢理腕を引っ張って連れて行かれた。


「え、ちょ、道宮先輩!?」


 私の声なんて気にも止めず、先輩は私を連れてずんずん歩く。


 辿り着いたのは、今回で3回目となる屋上だった。


「…い、先輩!!」


 先輩がやっと私の腕を離した。


「なんで、こんな無理矢理連れて来たんですか」


「…こうでもしないと、お前逃げるだろ」


 と、喉から絞り出したような声で先輩が言った。


 でも、そんなことしなくても逃げませんよ、と即答できない自分もいて。


 少しの間、重い沈黙が続いた。