キーンコーンカーンコーン…



「忘れ物ないかー?
速やかに学校から出るようにー」



校庭の桜の蕾が

膨らみ始めてた



「オレんち、来る?」



「うん…」



変な距離のふたりの間を

まだ春になりきれてない

中途半端な風が通る



同じ学校の人が

なるべく通らない道を選んで歩く



初めて行く

杉山の家



「こっち…」



杉山が私の手を引いた



最後なのに手なんか…

繋いでるわけじゃないか