キミよりも高いセカイ

「うわぁ…綺麗っ…!」


 最寄りの駅から電車に揺られて15分ほど。私は目の前に広がる光景に圧倒されていた。


 そこはこの水族館の名物、巨大水槽。大きなものから小さなものまで、たくさんの魚が泳いでいる。


「青峰と、これが見られてよかった」


 横に目を向けると、大倉くんの顔が水槽の青に照らされて、とても幻想的だった。


「…私も。…私も大倉くんと見れてよかった」


 少しの間、無言で優雅に泳ぐ魚を楽しむ。


「突然だけどさ、青峰は人のことを考えて行動できるやつだと思うよ。…図書委員の仕事の時もさ」


「え、気づいてたの!?」


 うそ、あんなに完璧な作戦だと思ったのに。


「あぁ。俺が身長のこと気にしてるのわかってて、俺から隠れてしまってくれたんだろ?…俺、あれでお前に惚れた」


 すぐに顔が熱を帯びるのがわかる。…今水族館でよかった。


 そして大倉くんに青峰、と呼ばれて、大倉くんの方を向く。


「青峰、俺を好きになってくれてありがとう。…でも俺、お前以上にお前のこと好きな自信あるよ」


 …もう、大倉くんどれだけ私をドキドキさせたら気が済むの。


 …そうだ、昨日教えてもらったアレをしよう!


 私は再び大倉くんに向き合って、


「…これからもよろしくね、…ゆ、ユウリっ!」


 と、私から大倉くんの頬にキスをした。


「っ!?…お、お前…!?」


 大倉くんの顔がりんごみたいに赤くなる。


 ふふっ。こんな大倉くん、初めて見た。井下くんのアドバイスのおかげだね。


「…後で覚えてろよ、ミア」


 っ!?…ま、まさか仕返ししてくるとは…!


 私の顔が大倉くん以上に真っ赤になったのは、言うまでもないです。


 それからまた水槽に向き合い、繋がれた右手に愛を感じながら、2人だけの時間を過ごした。