「こんなに純粋に僕と話してくれた女の子、青峰さんだけ。…青峰さんが初めてだったんだ」


「井下くん…」


 井下くんのこんなに悲しそうな顔、見たことない。


 いつもの爽やかスマイルの裏側には、こんな過去があったんだ。


「大丈夫だよ、井下くん。…出来ることいっぱいあるし、優しいし…。ちゃんと話せば仲良くなれるよ」


 井下くんの左の瞳から、一粒の涙が溢れた。


「ありがとう…あと、ごめん」


 もしかして、知ってたのかな。あの3人組のこと。


「私は大丈夫」


 私は出来る限り明るく答えた。


 不安で、不安で、押し潰されそうだったことを、悟られないように。